書籍「西洋美術は『彫刻』抜きには語れない 教養としての彫刻の見方」の感想

著者・堀越啓、発行所・株式会社 翔泳社

2022年8月31日電子書籍版発行

 

1番印象に残ってるのは「ロダンって思ってたよりめっちゃ凄い人やん」ってこと。彫刻史がロダン前とロダン後に分けられるってこの本で知って、え、そんな凄い人やったん?って頭混乱した。いつも挨拶してた掃除夫のおっちゃんが実は社長でしたみたいな。

 

ロダンの凄さは、今までのギリシャ・ローマ的な外形的な美しさを重視していた彫刻に、生き物の内面や本質を表に出す表現を取り入れた点らしい。SNSの普及でどんどん見た目重視の風潮が広まってる昨今、ここらでいったん自分の中にロダンを呼んでこなあかんという気持ちになった。みんなの心にもロダンを。

 

分からんなりに彫刻を見に行くと、人間も広義の彫刻だよなと思う。美容整形とかで外形を整えるのも美の追求においては大切かもしれないけど、ロダンの作品のように内面が滲み出る外見を味わうのが面白い。また彫刻は野外におけることで、時間の経過やその時の天気や周りの環境によっても見え方が変わる。自分という作品をどう作っていこうかという気持ちになる。

 

西洋美術史において「時代の節目になると必ず戻ってくるのも、この古代ギリシャ・ローマの美術です」とのこと。ルッキズムの強まりからしても、日本もどんどん西洋に染まってきてるのかもね。筋トレブームで筋肉美ももてはやされてるし、立体的な顔面とか、腰高の長い脚とか西洋的な美の基準が圧倒的に良しとされていて少し寂しい。

 

彫刻ってなんかよく分からん、を解消したくて読んだ。結果として彫刻の素材や制作方法に関する謎に関してはスッキリしたものの、感覚としてはやっぱり分からんままである。彫刻美術の歴史に関して頭にあまり残ってないからだろう。もう一度歴史の部分を読み込むとより彫刻が楽しめそう。写真とか図があるから、電子版でなく紙で読んだ方が見やすかったのかもと思った。

 

以上。